論文読んだ On Analyzing Job Hop Behavior and Talent Flow Networks

転職活動をネットワーク分析の手法で分析した論文

December 5, 2017

最近ネットワーク解析の実データへの適用に興味があって、適当にarxiv.orgで検索して気になったのを読んでます。 理解するためのメモがてらに感想をを記載。 理解が間違っていることは多大にあるので、気になる点あればコメントもらえると嬉しいです。

今回読んだのはこれです。

On Analyzing Job Hop Behavior and Talent Flow Networks

https://arxiv.org/abs/1711.05887v1

ICDM Data Science for Human Capital Management, 2017 に採択された記事。この会議自体がどれくらい業界的にインパクトがあるものなのかは知りません。

会議自体は人事系のドメインに特化したデータ分析やそのためのアルゴリズムにフォーカスしたもののようです。

Linkedinなどのサービス(OPNsって呼ぶらしい)に公開された職歴情報を使って転職の傾向や人材の流れを分析したものでした。

職種が変わるなり勤め先が変わることをジョブホップと定義しているのだけど、面白いと思ったのはジョブホップでキャリアアップしてるかを見るために、実務経験が長い=レベルが高いことをやっている、とみなすような定量指標(job levelと定義されてた)を導入していたこと。 給与情報はOPNsではわからないので金銭的に上がったどうかという話ではなく、よりハイレベルな仕事についている(つまりキャリアアップしたか)かどうかに注目しています。 シンプルに言えば実務経験が長い人が多くついているジョブはレベルが高いとみなす指標です。 コンサルタントやエンジニアも上位クラスになると「シニア」とか「チーム」ってついたりするのでそんなに筋悪ではないのかな? CXO系だと若くして起業してなる人はいるだろうけど、全体で均すと実務経験長い人がやることが多いだろうから、直感には合うか。 この指標を使ってジョブホップ時のレベルの変化を分析すると、多くのケースにおいてジョブホップはレベルアップであるという結果だったそうです。 さらに、組織内ジョブホップと組織外ジョブホップで比較すると、組織内の方がレベルアップの割合は多いという結果に。 組織内でジョブが変わる場合は基本的には役が上がっていくことが多いのかな、と思いつつも、論文ではこの結果自体の分析はされてませんでした。

ネットワーク的な分析もされていて、in-degree、out-degreeの次数分布やPagerankを計算してみた結果、大手どころは人が吸い込まれていく、ソフトウェアエンジニアは転職多い、という事実が定量的に表されてて面白かったです。 おそらくシンガポールで行われた結果(論文中のグラフにはシンガポールの企業名とかがあったので)なのですが、こういう分析を日本でやるとどうなるんでしょうね。 似たような結果になるのか異なる結果になるのか興味があります。

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